経口避妊薬(oral contraceptives :OC)その2~使い分け
前回のブログに追記として記しましたが、ドロスピレノンを含むOCである、ヤーズが今秋に月経困難症治療薬として認可されました。そこで第4世代までOCがほぼ出揃ったことになります。ここでOCの使い分けについて検討してみましょう。
OCの開発は、もっぱらプロゲスチンの主作用であるプロゲステロン作用の強化と副作用の主たる原因であるアンドロゲン作用の減弱化を目指してきました。ところがOCには、元来の作用である「避妊効果」以外に月経量の減少・月経困難症の改善・PMS(月経前緊張症候群)の改善・月経不順の改善・排卵痛の抑制・にきびの軽減等様々な、寧ろ有効と考えられる副作用があるため、その副作用を目的として治療には用いられるようになっています。
まずホルモンの急激な変動が原因と考えられるPMSや排卵痛等の抑制には、一相性のOCが有効です。これには、第1世代のルナベルや第3世代のマーベロンが適しています。
第1世代のルナベルは子宮内膜症の保険適用となっております。また今秋に新規に厚生省で認可された第4世代のヤーズ配合錠はドロスピレノンを含んだOCですが、月経困難症で保険適用となりました。一方、第4世代のプロゲスチンであるディナゲストは子宮内膜症の治療薬として認可されていますが、エストロゲンを含んだOCとしてではなく、プロゲステロンの単剤として認可されています。
第1世代と第4世代とでは作用機序が全く異なります。特に第4世代ではアンドロゲンを含んでいないことが特徴です。
私の経験では、従来子宮内膜症の治療薬として使用されていたボンゾールはアンドロゲン系の治療薬で、副作用はありましたが治療薬としての効果は高いものでした。アンドロゲンを含む薬剤と含まない薬剤とで子宮内膜症の治療効果に差が出るか否かは今後の検討課題とされるでしょう。
ニキビはアンドロゲン過多によって悪化することが懸念されるため、最も効果的なのは第4世代のヤーズとなるでしょう。第3世代のマーベロンがこれに次ぎます。ただ前回紹介した文献に拠りますと、マーベロン等の第3世代のOCは、静脈血栓症の発生頻度が第2世代よりも高いとの報告がされているとのことです。第3世代のOCを処方する場合にはより一層の注意を要します。
以上のようなことを考慮して、症状に合わせてOCの使い分けをすることが大切となります。

にほんブログ村

にほんブログ村

