生理痛~子宮内膜や卵胞の嘆き
その当時と今とでは私の仕事内容も社会情勢も激変してしまいましたが、その記事を取り上げて今の感想も加えてみようと思います。
時には真面目に女性のからだに関して独断と偏見を交えて考察をしてみようと思います。
女性には毎月生理(月経)があります。これは何のためにあるのでしょうか?
女性のからだは本質的に妊娠して子供を産むためにできています。妊娠するために女性のからだは毎月規則的に変動しています。
女性の子宮は排卵後に脱落膜化という現象を起こして子宮の内膜が厚くなり、受精卵が着床できるように準備しています。妊娠に至らないと、厚くなった部分の子宮内膜が剥がれ落ちます。これが生理(月経)です。つまり、生理(月経)というのは妊娠できなかった子宮内膜の嘆きであり、その排出の痛みが生理痛(月経困難症)を引き起こします。
妊娠が達成されないと剥脱した子宮内膜が卵巣や腹腔内に沈着して子宮内膜症を引き起こし(筆者注:子宮内膜症の成因は他にもありますが、これは論文ではないのであしからず)、より一層の生理通や腰痛の原因となります。従って子宮内膜症というのは、妊娠に関与できずに剥離した子宮内膜の嘆きに由来することになります。
成熟期の女性では、毎月卵巣から原則的に1個の成熟卵胞が排出され、卵管采に捕獲されて卵管内(膨大部)で精子が到着するのを待っています。精子と出会えて受精し、受精卵になれる卵胞は幸せですが、出会えないと自然消滅してしまいます。時々女性にみられる、いわゆる‘中日(なかび)のいたみ’というのは排卵痛であることが多く、これは精子を呼ぶ卵巣の嘆きであると私は考えています。
受精しないと、原則的に毎月1個ずつ、年間で12個、10年で120個の卵胞が消費されていきます。ひとたび妊娠すれば、分娩まで10ヶ月は月経が来ないし、出産後も授乳していれば月経は起こりにくいものです。
昔の多産多子の時代は月経がくるタイミングがないくらい妊娠・出産を繰り返していたのだと思われます。今30代以降特に30代後半の女性に子宮内膜症の患者が増えて、生理通や腰痛に苦しんでおられます。これは無為に消費された子宮内膜や卵胞の嘆きの賜物ではないかと考えています。
<引用終了>
このように毎月の生理痛に悩まされている女性は多い現状です。女性のからだが、妊娠・出産に向けて合理的な構造を有しているからといって、無理に妊娠を望む必要はありません。
生理痛に悩まされている方には、低容量ピルが有用です。現在処方されているピルは、副作用が少ないものです。月経前緊張症候群(PMS)、排卵痛等に悩まされている方にも有用です。生理に関して悩みを抱えている方が、気軽に受診できるようなクリニックの開設を私は目指しています。