野田聖子氏の妊娠
まずは、市井の1産婦人科医として述べさせて頂きます。
「妊娠おめでとうございます。長年の治療の甲斐が実って無事に出産されることを心からお祈りしたいと思います。」
私は「週刊新潮」でその手記を読ませて頂きました。
野田氏のこれまでの不妊治療に懸けてきた想い。
流産後の絶望感。
養子をもらおうとした際の日本での大きな壁。
現代の日本における生殖補助医療に関する法的不備。卵子提供に対する世間の「偏見」。
高額医療と精神的・肉体的負担。
ハイリスクとなる高齢出産に対する期待と不安感。
等が紙面を通じて伝わってきました。
これらの点に関しては、非常に多くの困難な問題が横たわっているのが現状です。
技術の進歩や価値観の多様化に、旧態依然たる日本の因習・制度・法律が柔軟な対応をしていないことが大きな原因の一つです。
ただ一つ重要なことを挙げれば、やはり子作りは早い段階から始めた方がベターということです。
もちろん、若年であっても不妊治療で苦しんでいる方もおられるし、高齢であっさりと妊娠される方もおられます。
ただ高齢になると、特に45歳を超えると妊娠率が極端に落ちてしまうのは事実です。
私は先日のブログで、49歳になると女性は子供が産めなくなる、という中国漢方医療の古典である「皇帝内経素問」にある一節を紹介しました。
七七任脈虚、太衝脈衰少、天發竭、地道不通。故形壊而無子也(49歳になると閉経を迎え、身体は老い衰え、もう再び子を産むことはできません)
この古典に拠れば、男性の生殖能力の限界は一般的に言って64歳とされています。
最近ではアラフォー、アラフィー向けの多くの雑誌が刊行され、アンチエイジングのための医薬品・化粧品・サプリや医療技術も進歩が著しいものです。
その結果として、40歳を超えてもなお若くて綺麗な女性が巷で多くなったような気がします。
ただし、卵子の質の年齢による不可逆的退行を若い頃に戻すことはできません。
後々後悔しないようにするためにも、子供が欲しい方はできるだけ早く自身のホルモン状態を把握し、子作りに励まれることを願っています。