不妊でお悩みの患者さまへ
不妊症というのは、結婚して二人で努力しても2年以上にわたって妊娠に至らないことです。当クリニックでは、結婚する前から子作りできるように心身ともに準備しておくことをおすすめしています。
特に月経(生理)が不順な方には、できるだけ早く基礎体温表(BBT)をつけることをおすすめしています。低容量ピル(OC)の内服でも月経は規則的にきますが、排卵の有無を事前に確認しておかないといざ子作りをしようとしても時間を要することがあります。
不妊で悩んでいる患者さまには、まずは基礎体温表(BBT)をつけて頂き、並行してホルモン検査を実施していきます。月経開始後5日目までに実施する初期検査(FSH, LH, PRL, T)と、高温期の中日でする検査(E2, P)とがあります。必要に応じて、甲状腺機能ホルモンの検査も追加します。
子宮内膜症の疑いがある患者さまには、MRI等の画像検査を依頼したり、腫瘍マーカーの検査を追加したりします。また不妊症や子宮外妊娠の原因となる、クラミジア等のSTD(性行為感染症)の検査も実施します。
多嚢胞性卵巣(PCO)が疑われる患者さまには、糖尿病やインスリン抵抗性の検査を実施します。特に、男性ホルモンであるテストステロンが高値の患者さまには、排卵しやすくなるような体質改善のために、漢方療法も平行して行います。
卵管の疎通性を調べるために、通水検査を実施します。そこで卵管の閉塞が疑われる患者さまには、卵管造影の検査を検討します。
ご主人の検査に関しては、早めの精液検査の実施をお願いします。容器を自宅に持ち帰っていただき、採取後できるだけ早くご来院いただくようにお願いしております。
ヒューナーテストを実施することがあります。これは性交後試験と呼ばれる検査で、検査を実施する前日の晩か当日朝に夫婦生活をした後に来院して頂きます。精子の運動性のチェック及び精子が子宮頚管を通過することができるかどうか確認するための検査です。
以上の検査結果に異常がなければ、まずはタイミング法で治療を行います。具体的には診察で頚管粘液の性状をチェックしつつ、超音波検査で子宮内膜の厚さと卵胞の大きさの測定を実施します。適宜注射をして子宮内膜を厚くしたり、卵胞を大きくしたります。卵胞が20mm前後になれば、排卵を刺激する注射をして、その晩か翌日にタイミングを合わせることをお勧めします。排卵がみられない患者さまには、排卵誘発剤を投与したり、排卵誘発の注射をして、排卵を起こすようにします。多胎や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にならないように配慮しつつ、治療を行います。
もしも精液所見が不良であれば、人工授精(AIH)を行います。当クリニックでは、専用のキットを用いて精子の調整を行い、運動性良好な精子のみを子宮内に注入するようにしています。
精液所見が極端に悪い場合や人工授精(AIH)を数回実施しても妊娠に至らない場合、また卵管が両側ともに閉塞していることが推察される患者さまには、提携している不妊専門医療施設(英ウィメンズクリニック・山下レディースクリニック)を紹介させて頂きます。
<男女生み分け>
これに関しては、残念ながら科学的根拠がありません。一般的に勧められている方法として、男児希望の患者さまにはリンカル・グリーンゼリーを処方させて頂き、女児希望の患者さまにはピンクゼリーの処方をしてタイミング指導を行います。ただし9~12層のパーコール法による男女生み分けはその効果が疑問視されているため、当クリニックでは実施しておりません。
<不育症>
不育症 とは、せっかく妊娠されても3回以上流産に終わってしまうことです。種々の原因があります。
形態的な異常がないかをMRI等の画像診断、免疫・凝固異常がないか、糖尿病やウイルス感染症がないか、染色体異常がないかを血液検査で行います。
画像的に、双角子宮のような子宮奇形の疑いがみられ、手術が必要な患者さまには、手術が可能な医療機関を紹介させて頂きます。
抗カルジオリピン抗体等の自己免疫疾患が認められる患者さまには、軽症であれば低容量アスピリン、漢方、へパリン等の治療を行います。重症の患者さまには、基幹病院の血液免疫内科の専門医を紹介させていただきます。
<卵胞発育不全>
排卵誘発をしても卵胞の発育がよくない患者さまには、AMH(抗ミューラー管ホルモン)の検査をして、卵巣年齢のチェックをします。この検査には保険が適応されないので、自費負担となります。
(追)今日、近所にご在住のベテランのドクターからお花が届けられました。当クリニックで購入した分を合わせますと、のべにして39鉢目となります。受付横からの写真だと、廊下の突き当たりにある胡蝶蘭群も撮影できることが判りました。お花の数においては今が盛りだと思われますので、記念に写真を撮っておきました。


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