サムゲタンでコラーゲン補給

上の料理は、私が好きな参鶏湯(サムゲタン)です。この料理は、韓国では日本における`土用の丑’のような、夏バテ防止の食事とされていますが、コラーゲンが豊富なためアスリートや女性の美肌向けの料理と言えます。
この料理は、私の自宅からも今度開業する場所からも近い位置にある、韓流食堂`オッパ’の名物料理の一つとされています。
この料理は鶏1匹を丸ごと煮込んでいるため、析出されるコラーゲンが豊富で、白濁した濃厚なスープが美味です。一度食べたらはまってしまって病み付きになってしまう方も多いと聞きます。私が最も運動にはまっていた頃は、このサムゲタンを毎週食べていました(汗)。
蛇足ですが、コラーゲンの有用性を紹介した以前の記事を下に記しておきます。
最近私が毎週のように運動特にランニングの後に参鶏湯(サムゲタン)を食べて、コラーゲンの補充をしているとブログで記載していたところ、読者の方々が関心を持ってこの料理にチャレンジしようとしているのは嬉しい話です。言い出した者の責任として、少しだけ専門的に‘コラーゲンの摂取とランニングへの効果’について調べてみることにしました。
まず、前回・前々回でも紹介したNatureの文献`Endurance running and the evolution of Homo'では次のように記載されています。
Collagen-rich tendons and ligaments in the leg store elastic strain energy during the initial, braking part of the support phase, and then release the energy through recoil during the subsequent propulsive phase.
これを直訳しますと、‘コラーゲンが豊富な腱と靭帯は、最初の(支持相)で弾力性の負荷エネルギーを溜め込み、次なる(推進相)で反眺することにより、エネルギーを解放する’とでもなりましょうか。要は走る際には、下半身をバネのようにして上手く利用しており、そこで不可欠の役割を果たしているのが、膝関節と踵(かかと)関節です。両者共に屈曲から伸展する際に、 ‘歩く’際よりも推進的にエネルギーを解放します。この働きに際して特に重要なのが、膝周囲の靭帯とアキレス腱であり、コラーゲンはこの両者の主要成分となっています。
そもそも‘コラーゲン’とは何でしょうか?これは、生化学の教科書に拠ると不溶性の線維状高分子蛋白質である結合組織です。結合組織以外に皮膚、骨、腱、靭帯、血管壁など身体の中で最も多量に存在する蛋白質で、アミノ酸組成の約1/3がグリシンとプロリンです。ヒドロキシプリンやヒドロキシリジンを含んでいるのも特徴的です。ポリペプチド鎖が一方的に長く連なったもので、同じ構造の複数のポリペプチド鎖が束をなして規則的な構造となっています。生理機能としては、生体構成を形成する上で重要で、組織に強度、弾性を与えたり、外界からの保護を行っています。
以上のことから、皮膚の主要成分であるコラーゲン摂取は‘美肌’にも重要ですが、スポーツ選手で激しい運動で筋肉、腱、靭帯を酷使する者には多量の摂取が必要となってきます。ランナーの場合、膝やアキレス腱を痛めることが多いと思われるので、コラーゲンの摂取はその疼痛の予防或いは軽減につながると考えられます。
コラーゲンはサプリメントでも販売されていますが、サムゲタンの良さは、鶏一匹を丸ごとに混んで骨以外の結合組織から析出されるコラーゲンをそのまま摂取できる点にあります。豚骨スープも似たようなところはあるでしょうが、豚骨では必要以上に脂肪分が多過ぎます。鶏肉はヘルシーであり、本格的なダイエットのために鶏のささみや胸肉を食べるとき以外で、丸ごと一匹溶けかかった骨も含めて摂取するのは、体脂肪率が低い方がタイムを縮めやすいランナーにはありがたいことでしょう。
以上は私の全くの独断です。サムゲタン以外にもコラーゲンが豊富な料理は多いと思いますが、サムゲタンでは高麗人参やキムチも一緒に食するため寒さ予防、風邪予防にもなります。興味もたれた方は一度ご試食なさってみて下さい。私は別に韓国料理の普及に努めているわけではないのであしからず(笑)。