プラセンタとサイトカイン~その2 使い分け
前回、日本の臨床現場で医薬品として使用されているプラセンタ注射液にはメルスモンとラエンネックの2種類があることを紹介しました。
プラセンタの加工法に拠れば、両製剤共に健康な人の胎盤を利用しています。ただしその抽出法により効果の面で差が生じてしまいます。
メルスモンでは塩酸加水分解法を用いていますが、この方法では前回引用したサイトカインのような高分子のタンパク質は壊れてしまい、その活性を失ってしまいます。
一方、ラエンネックでは主として分子分画法を用いているため、高分子のサイトカインはその活性が保たれていることが期待されます。
そのため、ラエンネックの方が細胞レベルでの若返りや修復・美白効果が期待できることになります。
ただ種々の注意点があります。
1)メルスモンでは:更年期障害、乳汁分泌不全
ラエンネックでは:慢性肝疾患における肝機能の改善
しか保険適用がないため、それ以外の使用の場合、自費診療となります。
2)メルスモンでは添加物としてベンジルアルコールが含有されています。これが血管内に混入するとショックが誘引される可能性があります。そのため静脈注射は禁忌で、原則皮下注射とされています。
3)ラエンネックではサイトカイン等の高分子のタンパク質が含有されているため、濃度が濃くて匂いも臭く、注射時にはメルスモンに比して痛みが強いと考えられます。
4)どちらの製剤も人の胎盤から抽出した血液製剤であるため、ラエンネックのホームページにも記されていますが、
「ヒト胎盤を原料としていることに由来する感染症伝播の危険性を完全に排除することができないことを患者様に対して説明し、理解を得るよう努めてください。
また、ラエンネックを含めヒト組織や血液を原料とした製品を使用した方は、献血を控えることが求められています。」
これらの製剤を注射された方は、以後は献血を控えることが求められます。
以上のようなことから、婦人科で利用する場合、更年期障害の症状が顕著な方にはメルスモンを使用し、より一層のアンチエイジング効果(細胞レベルでの若返り、美白効果等)を希望される方には、自費となりますがラエンネックの使用がベターとなるでしょう。

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テーマ : 美容・健康・アンチエイジング
ジャンル : ヘルス・ダイエット