中国上海での分娩事情
脅される妊婦も…帝王切開で病院が収入増狙いか? 中国上海
中国の上海市では、産婦人科での出産の約54%が帝王切開で,産婦人科医は営業上の理由からも妊婦さんに対して推奨あるいは脅しを掛けて帝王切開術を受けさせているようです。
日本の帝王切開率は、経膣分娩のリスク回避の傾向から骨盤位・前回帝王切開術・双胎等の多胎がルーチンで帝王切開になったといっても、帝王切開率はせいぜい20%くらいだと思われます。
日本の産婦人科医療は、訴訟の急増・時間的拘束・精神的ストレス等から中堅のベテラン層が産科の第一線から撤退し、全国的に危機的状況に陥っています。それでも多くの日本の産科医は良心的な医療を行っているものです。
今日、私が勤務しているクリニックでは、緊急帝王切開術が実施されましたが、そのケースなどは明らかに「児頭骨盤不均衡」の症例でした。
「児頭骨盤不均衡」などというのは、いかにも医学的な難解な表現ですが、要は母体の骨盤の大きさに比して産まれてくる赤ちゃんの頭が大き過ぎるという意味です。
母体の身長にもよりますが、骨盤の大きさによって、4000gの赤ちゃんを下から産めるお母さんもおれば、2500gの赤ちゃんも産めないお母さんもいる訳です。
年配の日本女性は、いわゆる「安産型」で骨盤が広くて大きいため、出産に向いていたのですが、最近の若い女性の場合はスタイルが良くて、骨盤の狭い人が多い傾向にあります。
今日の緊急帝王切開術では、出産前の赤ちゃんがおなかの中で骨盤の上で浮いていて、骨盤内に固定してなく、産まれた赤ちゃんの大きさも4000gを超えていたため、明らかな「児頭骨盤不均衡」と考えられました。
ただこれは分娩の結果から診断(断定)されたもので、事前の診断で「児頭骨盤不均衡」と確定するのは難しいものです。良心的な産科医なら無闇に帝王切開術を勧めたりはしないものです。
100%母児共に健康であることを家族や本人は願うものですが、お産は経膣分娩を志向するのであれば、本質的にギャンブルです。現在の日本においては、‘分娩は80%成功を収めるギャンブルである’と言わざるを得ません。決して100%ではありますせん。
母体のリスクはともかく、赤ちゃんが健康的に産まれることのみを希望するのであれば、どんなに女性の骨盤が出産向けに構成されていることを理解していても、帝王切開術がベターとなります。
多くの産科医はこのリスクとジレンマの中で格闘しつつ、妊婦さんにとっても最善の結果を齎すように日夜努力しているものです。
■帝王切開多いブラジル(上)―見直される自然出産―重要な胎児と母体の生理
上記の記事のように、ブラジルでは帝王切開率が40%、お金を払ってケアを選べる中流階級以上では90%になるとも言われています。
女性の骨盤というのは、本質的に男性に比して分娩に適した構造をしています。日本でもリスク回避の傾向が進み、上海やブラジルのように帝王切開率が急上昇しないことを願うばかりです。

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