プラセンタとサイトカイン~その3
多くの資料をもってきてくれました。お話を聞いていて最終的にわかったことは、プラセンタが臨床的に更年期障害・肝機能障害に効果があり、アンチエイジング的効果も認められていますが、科学的な作用機序は解明されていない、ということです。
最近の日本胎盤臨床研究会で報告されている、メルスモンとラエンネックとの比較表では、どちらのプランセンタでもサイトカインの1つであるHGFが検出されていません。ただし、これは現実的にはmRNAレベルでの発現を調べる必要があるでしょう。定量化は困難な気がします。
注目すべき点としては、ラエンネックの方が成分的に鉄とカリウムを多量に含有していることです。
これは、ある意味ラエンネックの方が抽出法が粗いため、血液成分が多く含まれていたためとも解釈されます。貧血の患者さまの改善により有効とされるでしょうが、それはプラセンタの効能のためかどうか不確かです。
メルスモンとラエンネックの単純比較でも、添加物に差がある(メルスモンがベンジルアルコールでラエンネックはペプシン・乳糖など)のと、色・pHに差があるくらいで浸透圧比は変わりません。
前回説明した使い分けに関しては、上記の差に注意するくらいで薬効は殆ど差がないとも考えられます。
実際に開院したら、当クリニックで独自に作成している更年期・アンチエイジング用iPad問診票を活用して、プラセンタの効果を実証していきたい、と考えております。
また、プラセンタ開発の歴史が記された本に拠りますと(「女性の不調を解消するプラセンタ・パワー」吉田健太郎著)、母校の京都大学医学部産婦人科教室の故三林隆吉教授によって、プラセンタ製剤「ビタエックス」が終戦前後に開発された、とのことです。
三林教授は、産婦人科の世界では、超広範性子宮全摘術という子宮頸がんの手術を開発された手術の名手として知られています。しかし、今まで私は、三林教授によってプランセンタが母乳分泌不良の改善、乳幼児の発育促進、肝臓病、貧血、手術後の体力回復等広範囲の効能をもつと証明されているとは知りませんでした。
これを知ったら、プラセンタ注射液以外の投与法にも興味を持つようになりました。アンチエイジングを目的とした、プラセンタ入り内服薬や化粧品の導入も検討中です。

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テーマ : 美容・健康・アンチエイジング
ジャンル : ヘルス・ダイエット