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高度生殖医療で妊娠に至る年齢的限界

 先日凍結胚盤胞移植を実施した、48歳の不妊症の患者さんは妊娠には至りませんでした。

 非常に残念でした。

 今後のことをお尋ねしたところ、もう不妊治療の継続は断念されるとのことでした。

 種々の状況から鑑みて、私の立場では不妊治療をこれからも頑張っていきましょうと申し上げることはできませんでした。

 アンチエイジング的医療の進歩で、分野によってはある程度女性の若返りが期待できるものもありますが、卵のqualityを上げることはできません。

 衆議院議員の野田聖子氏が、米国の病院で卵子提供者(ドナー)から提供された卵子による体外受精で妊娠した、という事実はおめでたいことではありますが、誰にでも追随できることではありません。

 妊娠を希望される方はできるだけ早く、どんなに遅くとも40歳までには不妊治療を開始されることを願ってやみません。

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テーマ : 不妊治療
ジャンル : 結婚・家庭生活

体外受精で妊娠が望める不妊症の患者さんの年齢の限界と合併症のリスク

 今日は、48歳の不妊症の患者さんの凍結胚盤胞移植を実施しました。

 胚盤胞(Blastocyst)というのは、体外受精によって受精に至った卵子が分割を繰り返し、着床可能となるまで分化が到達した段階です。

 私が研究していたサイトカインのLIFはこの胚盤胞の着床に必須であるとされています。

 現在の体外受精では、採卵・受精・培養によって得られた胚盤胞をすぐ移植する(新鮮胚盤胞移植)のではなく、凍結してから移植することが一般的になっています。それは、原則的に1個ずつ移植することで多胎の予防をすることと、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防が主たる理由です。

 私は以前の記事で触れましたが、女性の場合には40歳を超えて50歳に近くなると妊娠率は極めて低くなります。そのため、45歳を超えて胚盤胞を得られるのは非常に難しいものです。

 まして妊娠に至る確率は非常に低いものです。それでも折角この段階まで到達した以上は妊娠されることを願ってやみません。

 年齢が高いと妊娠性高血圧等の合併症のリスクが高まり、妊娠の継続・分娩が母児共に危険な状態に陥れる確率も高まります。

 先日退院された患者さんは、40歳以降で体外受精にて妊娠に至りましたが、妊娠中に重篤な疾患を合併し、緊急帝王切開術にて分娩されました。その患者さんの場合には、現在複数個の胚盤胞が凍結保存してあります。次回以降の胚移植にはより一層の妊娠のリスクがありますが、患者さんの意向を考慮して今後の方針を決定していく必要があります。

 今度私が開院するクリニックでは、現在のクリニックで実施しているような高度不妊治療・周産期管理ができませんが、自分のこれまでの臨床経験を生かした診療をしていきたいと考えています。

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テーマ : 不妊治療
ジャンル : 心と身体

不妊からお産まで

 現在勤務しているクリニックでは、主として妊婦さんの健診と分娩、不妊症の患者さんの治療を行っています。不妊症の患者さんだけを扱っているクリニックや、主としてお産を扱っている病医院と違い、高度生殖医療で妊娠された患者さんのお産まで見届けることができるのは、産婦人科医冥利に尽きるものです。
 
 40歳代の不妊症の患者さんで、体外受精で妊娠された方が先日お産となりました。妊娠後期に重篤な疾患に罹ったため、満期に至る前の帝王切開での分娩となりました。

 より重症であれば、地域の基幹病院に搬送となって分娩に至るところです。母体搬送せずに、自分の勤務しているクリニックでお産でき、かつその後の経過が順調なのは私にとっても凄く嬉しいことでした。

 その患者さんの場合、年齢的に次の妊娠をどうするかというのは、リスクの問題も含めて難しいところです。本来なら私が引き続き、相談に乗って尽力したいところですが、残念ながら私は新規に別の場所で開業するためそれができません。

 私が以前、大阪の北野病院とか神戸市立医療センター中央市民病院等の大病院に勤務していたころは、ひたすら手術・検査等の医療技術の向上を目指していたものです。

 ただそれはあくまでもそれらの基幹病院が組織として、人的にも体制的にも医療機器等においても整っていたためです。医師一人だけではできることが限られてしまいます。

 医療の診療内容として、一人で日帰り手術や検査をできる科と、大勢のスタッフで治療を行い、治療後の入院管理を要する科とでは規模も治療の程度も異なります。

 組織の一員として腕を磨くことと、自分のできることを見極めてその中で最善を尽くすこととでは方向性が異なってしまいます。

 基幹病院等で切磋琢磨して習得した技術を開業して行使できない医師は多いものです。それでも、自分のできる範囲内で自分の医師としての理想を実現していくことも医療ではないかと考えています。

 ベビーブーム等があった昔は、一人でお産をとる産婦人科医が多く、その当時は「1に在宅、2に在宅、3、4がなくて5が体力(または在宅)」と言われていたものです。

 それが周産期医療が進歩するにつれて、赤ちゃんが元気に生まれてくるのが当たり前のご時世となり、期待していた結果が得られなかったご家族からの訴訟等が増えたため、現在では複数の産婦人科医が揃わないとお産を扱えない時代になってしまいました。

 それでもお産をとる産婦人科医が年々減ってきているため、お産を扱える病医院は減る一方です。

 悲しい現実ですが、この悪循環に抗うことはできません。

 私が開業したら、自分のできる精一杯のことをして、その地域の女性の方々の悩みに真摯に向かい合い、いつまでも健康でいられるように貢献していきたいと考えています。

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テーマ : 婦人病
ジャンル : 心と身体

野田聖子氏の妊娠

 衆議院議員の野田聖子氏が、米国の病院にて卵子提供者(ドナー)から提供された卵子による体外受精にて妊娠し、現在妊娠15週であること、来年2月に50歳で出産予定であることを、雑誌「週刊新潮」に手記を寄せて発表されました

 まずは、市井の1産婦人科医として述べさせて頂きます。

 「妊娠おめでとうございます。長年の治療の甲斐が実って無事に出産されることを心からお祈りしたいと思います。」

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テーマ : 不妊治療
ジャンル : 心と身体

体外受精と周産期管理

 昨日の診察の時、長い間不妊治療にかかっていた患者さんが、2回目の体外受精で妊娠していることが判明しました。

 私もすごく嬉しかったのですが、患者さんも「もう駄目かと諦めていました」と泣いて喜んでおられました。

 今私が勤務しているクリニックでは、不妊から分娩まで一貫して治療・管理を行っています。

 私が今度開院するクリニックでは、体外受精も分娩管理も行うことができません。

 あくまでも人工授精までの不妊治療と妊婦健診のみに限られてしまいます。

 やっとの思いで妊娠にたどり着いた患者さんの場合、分娩のところまで経過をみていきたいところですが、残念ながら今回それはできません。

 それでもできるだけ、妊娠経過が順調にいくように見守っていきたいと思っています。

テーマ : 女性特有の悩み
ジャンル : ヘルス・ダイエット

難治性不妊症の患者さん

現在勤務している診療所では、お産も扱っていますが、不妊治療にも力を注いでいます。

不妊治療の場合、通常はタイミング指導から開始して、なかなか妊娠に至らない場合には人工授精から体外受精へとステップアップしていきます。当院では体外受精まで実施していますが、40歳を越えた女性の場合、どうしても妊娠率は下がってしまいます。

私が初診から診ている46歳の患者さんは、今まで2回体外受精を通常の排卵を抑制する方法で実施したのですが、なかなか卵がとれないため人工授精に戻していました。

それでもなかなか妊娠に至らないため、今回は排卵を抑制することなく自然周期で採卵を実施してみました。

すると今回何故か4個卵が回収されたため、2個は自然に精子を受精させ、もう2個は顕微授精といって卵に穴を開けて精子を注入する方法で行ったところ、2個が着床前の状態である胚盤胞まで分化していることが判明しました。

女性の場合、45歳を過ぎると極端に卵の質が落ちてしまうように思われます。まだ受精卵である胚盤胞を移植する前の段階ですが、今度こそ妊娠されることを祈るばかりです。

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

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小島謙二 (ペンネーム:晴走雨読)

Author:小島謙二 (ペンネーム:晴走雨読)
神戸市東灘区在住の産婦人科開業医。昭和38年生まれ。昭和63年京大医学部卒。医学博士。水瓶座。血液型はO型。
財団法人田附興風会医学研究所北野病院・神戸市立医療センター中央市民病院等の勤務を経て、2011年2月7日に神戸市阪急御影駅徒歩7分の御影ドクターズビレッジ内に、こじまレディースクリニックを開院しました。

産婦人科全般を扱ってきておりますが、専門は生殖内分泌・不妊・腹腔鏡下手術です。詳細は当ブログのプロフィールの欄をご覧下さい。

趣味はマラソン・観劇・ゴルフ・読書・筋トレ・サウナ&温泉・マッサージと多彩です。

観劇の世界では、以前は宝塚歌劇団がメインでしたが、劇団四季からストレートプレイまで幅広く対象にしております。

マラソンのベストタイム
フル:3時間22分45秒(平成18年篠山)
ハーフ:1時間28分49秒(平成19年大阪市民ハーフ)
5km:19分16秒(平成20年尼崎記録会)

ゴルフ:ホームコース~六甲国際ゴルフ倶楽部 オフィシャルHC25

女性の様々な悩みに真摯に向き合い、女性の健康維持とQOL(Quality of Life)の向上~アンチエイジングに努めたいと考えております。

どうか宜しくお願い申し上げます。

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