映画「レ・ミゼラブル」鑑賞

観劇好きの私は殆ど映画を観ないのですが、名作ミュージカルの映画板として評価が高く、日本でも大ヒットを記録中の映画「レ・ミゼラブル」を観てきました。

宝塚歌劇は以前より観ていましたが、本格的なミュージカルを観たのは2007年上演のミュージカル「レ・ミゼラブル」が初めてです。ミュージカルの観劇の予習のために、のヴィクトル・ユーゴー原作「レ・ミゼラブル」全4冊(岩波文庫)を読破しておきました。
原作に余りにも感動してしまったため、ミュージカルを観ても違和感が強かったように記憶しています。原作ではフランス革命時のパリの悲惨な状況が、隠語の解説等を通じて詳細に描き出されています。そのためミュージカルに於いては美的演出が過剰に感じ、原作の本質から懸け離れているように思われました。
ただこの映画に於いては、徒刑場やバリケード等の場面がリアルに再現され、またファンティーヌがコゼットへの仕送りのお金を捻出するための髪を切ったり前歯を抜いたりするシーンなど、真に迫っていて涙を誘いました。
私が原作を読んでいるときには、エポニーヌの存在にあまり気を留めてはいませんでした。映画やミュージカルの中では、マリユスに恋し、マリユスにつくし、最期のときにマリユスに自分の思いを打ち明け、約束通り自分の額に接吻してもらい、マリユスに看取られて16歳という若さで本望のままこの世を去る少女として描かれています。
この作品のタイトル「レ・ミゼラブル」 は「悲惨な人々」を意味しています。コゼットとマリユスは現実世界において、ハッピーエンドの結末を迎えます。この作品で真の「悲惨な人々」とは、私が思うにジャン・ヴァルジャンとファンティーヌとエポニーヌの3人のように思われました。3人とも愛(慈悲心)に溢れ、最期は天国に召されて行きます。
原作の膨大な内容を詰め込んでいるため、原作を読んでいないと場面毎の詳細な設定の理解が難しい面もありますが、ミュージカルをご覧でない方にも是非お勧めできる作品です。